ページを選択
  • 広島の路面電車ネットワークは圧倒的でした。路面電車のまちの中での、強烈な存在感。自動車、バス、歩行者が路面電車と錯綜し、フランスのリヨン市に雰囲気が似ています。

広島電鉄のご案内で、車庫にて日本のLRVのご説明をいただきました。すでに22編成の全長30mの低床車両を運行している広島電鉄は日本きっての路面電車軌道事業者で、最近のNHK9時ニュースでの、「日本で唯一広々とした「優先スペース」を設けている広電車両」報道番組は記憶に新しい。

運行状況を案内する本格的な掲示板 

ゆったりした優先スペースが各車両に

でも、実はこの優先スペースは、乗務員さんたちにとっては大変なようです。欧州では車椅子やベビーカーの乗客の乗降を、周りにいる人たちがごく自然に助けていますが、その習慣が根付いていない日本では、運転士か車掌さんがもっぱらお手伝いすることになっているそうです。「職場では高齢者の車内転倒で非常事態宣言が出されました。毎日のように こけて怪我をしています。 込み合う車内で降り遅れないようにと、ブレーキをかける前から立ち上がって出口までやってくるお年寄りの「人に迷惑をかけたくない」という心情も理解できます。入り口から出口への移動を無くして、全扉乗降にするのが理想ですが運賃収入で賄わなければならないし企業にとって リスクがありすぎです。保線にしても信用乗車にしても、運賃箱以外に地域からお金がもらえる仕組みをつくらないと進展することはなかなか大変だと思います。」(現場からのお声)

ツイッターではバスでも全く同じ問題が投稿されており、停車しているバスでの高齢者のけがでも『人身事故』扱いされるとか。

広電では全扉乗降(信用乗車のことをこう呼ぶそうです)の実験も、「乗車口に降車用カードリーダーを設置し、監視カメラで不正乗車をチェックする方法」で行われたそうだ。フランスのトラムのシンプルな乗降に慣れていた私は、日本の路面電車の支払い方の多様性に驚いた。それだけ、車掌や運転手さんの負担が大きいということだろう。

利用者の便宜を考えて、複数の支払い方法を提供しているが、マイカーから公共交通に乗り換えてもらうには、もっとシンプルな乗り方、支払い方が必要になってくるだろう。

  • 100年の運行を誇る日本を代表する路面電車を誇る広島で、なぜ「路面電車を考える会」があるのか、是非知りたいと思っていた私は、会の代表世話人から素晴らしい回答をいただいた。「日本一の路面電車ネットワークを生かして、便利で快適、利用しやすい運賃のLRTを整備することこそが、モータリゼーション全盛、しかも自動車メーカーの城下町で路面電車を残す選択をした先人達の英断を将来に繋げることになるので、その思いは忘れずに引き続き活動して参りたい。」

最先端の広電の路面電車運営が投げかける問い(信用乗車・ICカードのような簡単な乗降と支払い方式の導入、自治体からの運営費用に対する補填)は、日本全体の路面電車事業体が、今後の路面電車サービスの向上を測りながら、LRT総合交通システムに移行してゆく上で、等しくかかえる課題でもあろう。広電の今後の動きに注目したい。

信用乗車で乗降の時間短縮には、大きく左右に開く扉が必須

広電本社前のレトロな電停。ホームが狭いのが残念

カテゴリー

0コメント

コメントを提出

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です