- 富山市・森市長が再選されました。おめでとうございます!
- 2月2日、堺市LRTネットワーク主催のシンポジウムで、富山市の森市長と基調講演者として登壇させていただきました。日本で唯一『LRT導入とコンパクト・シティ』への取り組みに成功している自治体の最高責任者のお話は、臨場感に富んでいてまちづくりを指揮しているトップだけが持つ迫力があり、数々の実例と日々更新されている試みに私も本当に聞き入りました。
富山市のLRT導入のいきさつ、また技術的な内容は様々な本ですでに詳しく紹介されているので、ここでは個人的に印象に残った、「より多くの市民に公共交通の利用を促す」富山市の最近の試みを中心に紹介します。〈文中紫字は森市長のお言葉〉TDMという表現は使われなかったが、富山市が今行っている試みはまさに、市民一人ひとりに移動のあり方の選択を考えてもらう『モビリティー・マネジメント』です。
とにかく、森市長が強調されるのは、「人口が減少し、しかも超高齢化する地方都市の生き残り戦略」。そのためにどのような哲学を持ち、それをどう上手く市民に説明するのか、ということを丁寧に説明されました。富山市の先進的な試みは、市民に説明する手間隙を厭わなかった市長の態度があるからこそ、市民達からその都市計画が受けられてきたのでしょう。時には、「クルマの車線を減らしてLRT路線を導入する〈写真〉」ために150回ほどの説得のための講演を行い、2時間の講和を一日に4回、地区を変えて行ったこともあったそうです。
自動車線を一車線削減して敷設したLRT路線
そこで効果が出たのは、中心部での人口増加。特に都心でサークル状で走行する環状線セントラム路線を設定して、行政施設、民間投資を公共交通路線経路に沿って誘致してゆくという、ストラスブール市でも積極的に採用された沿線経済整備開発戦略がとられた。その際、インフラへの投資から要求しては、地方都市に民間交通サービスは進出してくれないので、上下分離(公設民営)の経済上の重要性を強調されました。
「公共交通沿線地区への居住促進」と「中心市街地の活性化」(都心の住宅購入者には借入に対する助成)を同時に行っていると想像すればよい。そしてキーワードは『歩いて暮らせるまち』。 ここで私の興味を惹いたのは、公共交通を利用して都心に来た市民の一人当たりの消費額が、自動車で来た人よりも6000円も多いというデータ。ストラスブール市も2009年の大掛かりな所帯調査で、移動に関する生活実態を示したが、この消費額に関するデータだけは無い。森市長によると、この消費額の差額は、クルマで帰る必要がないので飲食が可能になった。つまり、『ライフスタイル』が変わったと。
また、森市長は欧州各地の都市の中心には人々が集まる広場があることを見て、雪国という事情も考慮し全天候型の多目的広場(憧れていたそうで)を整備しました。民間からの寄付金も得て、施設の充実化を図っています。(広場に樹脂製パネルのスケートリンクを設置する「エコリンク」など)。『お絵かき広場』を設けて、自由に落書きする(クリチバ市のイベントをヒントに)孫たちを撮影するために親や高齢者も都心に集まる企画など、イベントは盛りだくさんです。
そして、郊外の市民からのなぜ「都心部だけにばかり投資をするのか」という疑問や批判に対しては、数字をあげて「都心部からの高い固定資産税を確保によって(固定資産税歳入の22.3%が都心の0.4%のテリトリーからの納税)、山間部への支援財源が可能になる」と説明。「山間部に道路を作っても、税収として反映されることはほとんど無い!」 市長自らが、地域全体を足をかけて説明して廻っておられる。 (以下続く)
0コメント